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PIONEER MVH-380   ラジオ部評価

 (有)LSIサポート

                                                                                 2013/4/16

パイオニア MVH-380
PIONEER MVH-380



MVH-380内部写真
メイン基板写真 
両面基板だが裏面には部品ナシ
CDメカ付モデルと共用
黄色線で囲った部分がラジオ部



MVH-380ラジオ部写真
ラジオ部拡大写真

 パイオニア製のカーステレオ、MVH-380のラジオ部を評価しました。このカ-ステレオは、2012年10月発売で、定価7350円のモデルです。CDメカレスのためソースは、AM/FMラジオ、iPod,iPhoneとUSBメモリーです。先月評価したケンウッドのU383と同じタイプのモデルです。

 このMVH-380をネットの「価格.com」で調べてみると、カーオーディオ部門で売れ筋ランキング2位になっています(ちなみに1位は同じパイオニアのFH-780DVD)。私と同じように「USBメモリーが使えればCDメカは要らない」と思う人は多いようです。価格は最安値で5000円程度と安いです。以前は、カーステレオやカーナビは、他のAV機器に比べて値崩れが小さいと思っていました。しかし、最近はカーステレオやカーナビも価格競争の波にのまれている感じがします。
 なお、同タイプでDEH-380というCDメカ付のモデルもあり、こちらの方が1200円ほど高くなっています。CDメカ代が1200円ということで、やはり「安くなったなあ」と思います。
  
 このモデル、値段は安いですが、操作パネル面は安っぽさは感じません。各スイッチの操作感も上々です。そしてなにより、ラジオ部の性能がかなり良いのです。ということで、このMVH-380は、コストパフォーマンスが非常に高いモデルだと思います。

 製品のサイズは、従来のCDメカ付のモデルと同じです。CDメカが無いので奥行きは短くできるはずですが、共通基板、共通シャーシを使うことによりコストダウンを図っているものと思われます。CDメカがないため、中はがらがらです。

 右中央の写真はメイン基板です。両面基板ですが、裏面には部品は載っていません。黄色の線で囲った部分がラジオ(AM/FMチューナー)部です。

 右下の写真はラジオ部の拡大写真です。ラジオ用ICは、STマイクロ社製のHIT2 TDA7706です。このICはIF以降をデジタル変換してDSPで処理しています。DSPチューナーの一番の特徴は、急峻なIFバンドパスフィルターが構成できることです。また、S/N、歪率、セパレーションも非常に良いです。反面、デジタルクロックの高調波が、RF段に回り込み、ビートノイズを発生することがあります。

 外付け部品は、
●(RFAGC用の)pinダイオード2ヶ
●36.48Mのクリスタル発振子
●チップコンデンサ
●チップ抵抗
●チップインダクタ
などです。
 通常の電界コンデンサや、角型のコイルは使われていません。従来のラジオユニットに比べて大幅に部品点数が減っています。当然調整箇所もありません。

 MVH-380特性面での特徴

 ラジオ部の特性はかなり良いです。
特に良いのがS/Nです。また、歪率、IFバンドパスフィルター特性、セパレーションも非常に良いです。さすがDSPチューナーという感じです。NXPセミコンダクター社のATOMIC搭載モデルと比較するとワンランク上の特性です(AMの遠妨害特性は劣りますが)。感度や妨害特性についても、うまくまとまっていると思います。
 欠点としては、FMのRF同調回路が無いため遠妨害時の特性が良くないこと、ビート発生が2ポイントあること、FMノイズキャンセラの効きが入力40dBμ付近で悪いことなどです。
  
 各特性については以下のとおりです。

1.F特(周波数特性)について
 初期設定でF特フラットです。
FM時、10Khzが50μsのディエンファシスである-10.5dBに合っていました。カーラジオのF等は、ノイズを目立たなくするためハイカットされている場合もありますが、初期設定でF特フラットになっているのは好感が持てます。
 
ラウドネスは、機能はありますが初期設定ではOFFになっています。

なので、初期設定のまま、VRは「47」で測定しました。

2.ビートノイズについて
FMは、ビート発生ポイント2か所ありました。
   77.5M受信時感度1.2dB悪化
   78.2M受信時感度2.6d悪化
AMは、ビート発生ポイントはありませんでしたが、1080K受信時パルス性ノイズがのり、感度9dB悪化しました?

3.感度について 
FMは弱入力でIF帯域狭くして感度UP計っており、実用感度6dBfと良好です。
AMは26.3dBμと、ディスクリートのLNA使っていないわりには良好です。

4.S/N,歪率について 
このラジオの最も良いのはS/Nです。FM、AM共に通常よりも10dB程良い感じです(DSPにて何か処理しているのかもしれませんが)。
歪率も、DSPチューナーのため非常に良いです。AMの低域での歪率悪化もありません。

5.FMセパレーションコントロールについて  
入力レベルとAM成分で制御しています。変調度では制御していません。
セパレーション5dBとなる入力レベルは、35dBμです。
応答時間は、アタックは瞬時です。リカバリーは非常に遅く、SEP0dB→6dBまでは瞬時、13秒後に6dB→12.5dB、更に3秒後12.5dB→21dB、更に1秒後にフルセパ復帰します。

6.ハイカットコントロールについて 
入力レベルとAM成分で制御しています。変調度では制御していません。
また、AMでも程度軽いですがハイカットコントロールしています。

7.FMソフトミュートについて  
-3dBリミッティングが7dBμ、無入力ノイズレベルは-20dBです(30%変調)。
応答時間は、アタック、リカバリー共に瞬時です。

8.SEEK/STOPについて 

SEEKは、

   FM:76M~90M 100Kステップで一周 約2秒と速いです。STOP感度は18dBμです。

   AM:522K~1620K  9Kステップで一周 約11秒、STOP感度は30dBμです。

9.ノイズキャンセラ(ノイズブランカ)について   

FM、AM共に機能しています。
ただしFM時は、入力40dBμ付近のノイズ切り残しが目立ちます。また(ゲート時間が長いか、レベルホールドの時定数がピークホールドぎみになっているためと思われますが)10Khz変調時に動作した時、波形不連続発生のため切りかきノイズが目立ちます。
AMは良好です。

10.FM妨害特性について 
IM,感度抑圧とも良い特性です。
ただ、RF同調回路が無いため、遠妨害時は、IM、感度抑圧共に良くありません。
ICにはRF同調用のチューニング電圧出力pinがあるので、OEMなどで特性要求の厳しい場合は、RF同調回路追加するのかもしれません。

11.AM妨害特性について 
問題ない特性だと思います。ただし、NXP社のATOMICはLNA出力部にAMRF同調回路を設けており、それとの比較ではかなり劣ります。

12.その他気になった点
①FMS/N測定時、ノイズレベルがたまに5dBほど上がる時がありました。
②FM パイロット+SUB100%変調時、無入力→強入力に急変化させた時、出力が出ません(IFFILTERがせまくなったまま?)。








測定結果を以下に示します。


表1.PIONEER MVH-380 ラジオ部ポイントデータ

項目 測定値 備考
  FM
実用感度 [dBf] 6.0(1.0dBμ) 弱入力でIFFILTER制御アリ

S/N 30%[dB] 72.1

THD100% [%] 0.044  
SEP 30%[dB] 57 変調度による制御はナシ 
AMR(FM30%,AM80%) [dB] 61.3  
ImageRej [dB] >60
2信号選択度⊿100khz [dB] 0(mod100%時)
57(mod30%時)
 
IM(Fu=⊿800K,1600K、100dBu入力時 S/N30dBとなるFd) [dBμ] 28.5 +側と-側の平均値 
  AM
実用感度1k[dBμ] 26.3 弱入力ハイカットアリ(程度は軽い)

S/N 30%[dB] 67
THD80% [%] 0.033  
ImageRej [dB] >60
 
選択度(S/N10dB)⊿9khz [dB] >60  


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以下にカーブデータを示します。


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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