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FM相互変調妨害(IM妨害)についてREPORT15

2013/6/18
 カーラジオでは、FMの場合、以下の対策必要な妨害特性があります。
1.相互変調妨害
2.感度抑圧
3.隣接妨害
4.車電装系ノイズ(イグニッション、ワイパー、電動ミラー)
5.マルチパスノイズ
6.イメージ妨害


今回はこのうちの相互変調妨害について説明します。


相互変調妨害とは

 回路に2つの信号を入力し、レベルを上げていくと図のような3次歪、5次歪という等間隔の歪が発生してきます。この歪成分が、受信周波数に一致する時に混信が発生します。これが「相互変調妨害」です。

 カーラジオでは、「3信号妨害特性」とか「IM妨害特性」とも言っており、FMでよく問題となる妨害特性です。

 FMの場合は、一か所の電波塔から多数の電波を送信している場合があり、電波塔の近くで、隣町のあまり強くない電波の放送を聞こうとした時などに問題となります。

 相互変調歪が発生する周波数関係は(3次歪の場合)下記のようになります


希望信号=Fd
妨害信号1=Fu1(Fd+凾)
妨害信号2=Fu2(Fd+2凾)
のとき、

2Fu1−Fu2=2(Fd+凾)−(Fd+2凾)=Fd

となり、二つの妨害信号で希望信号と同じ周波数成分が発生します。
また、

2Fu2−Fu1=2(Fd+2凾)−(Fd+凾)=Fd+3凾

という周波数成分も発生します(等間隔で妨害信号の反対側)。

 AMの場合は、
 当然、同じように相互変調妨害が考えられます。しかし、AMの場合は一つの送信アンテナから1波しか送信しておらず、(FMのように一ヶ所から等間隔に複数の電波を送信することはないため)実際のフィールドでは、問題になることはまずありません。

相互変調妨害特性の測定法

  カーラジオでの相互変調妨害特性の測定には、SG(標準信号発生器)を3台用います。SG1を希望信号、SG2、SG3を妨害信号とし、Fig.2のような構成で測定します。

 この時、SGどうしの影響でSG自体が相互変調歪を発生しないように注意します。最近のSGは、Fig.3のような抵抗タイプの3信号合成器で問題ありません。 しかし、古いタイプのSGで、SG自体の相互変調歪が問題となる場合は、各ポート間でアイソレーションのある方向性結合器を用います。また、SG出力に抵抗タイプのアッテネータを挿入しても効果があります(その分出力レベルが下がりますが)。

 各SGの設定は下記のように設定します。
SG1希望信号:受信周波数、変調1Khz30%
SG2妨害信号1:受信周波数±凾z、変調なし
SG3妨害信号2:受信周波数±2凾z、変調400hz30%

 上記設定で、SG2とSG3を同レベルで変化させていき(相互変調歪を発生させて)、各レベル時においてS/Nが30dB(オーディオフィルタ挿入時)となるSG1のレベルをプロットします。値が小さいほど性能が良いことになります。評価結果グラフ例を参照してください。

「参考」
 増幅器やミキサーなどのブロック単位では、IP3とういう評価法が使われます。IP3とは、回路に2つの信号を入力してレベルを上げていった時、出力増加の直線と、相互変調歪成分増加(3番の傾斜で増加)の直線をそれぞれそのまま延長した場合にクロスするポイントのレベルです。実際にはそれ以前にクリップしてしまうため仮想のポイントになります。入力レベルで規定する場合と出力レベルで規定する場合があり、値が大きいほど(相互変調歪が発生しにくく)良い特性になります。
 



特性改善するには

 相互変調妨害特性を良くするには、

1.RF段で選択度をとる
2.回路のダイナミックレンジを大きくする
3.RFAGCのかけ方を工夫する
の方法があります。

 このうち、1.と2.は基本特性のUPなので問題ありませんが、3.は感度抑圧という弊害を伴います。

 「1.のRF段での選択度をとる」については、
 以前はRF段の同調回路で妨害波を減衰していました。しかし、最近はシリコンチューナー化してRF段は広帯域のBPFが多く、RF段で妨害波を減衰できないため不利になっています。特に離れた妨害での特性が大幅に悪化してきており、新たな方法での対策が必要です。

 「2.回路のダイナミックレンジを大きくする」については、
 LNA、MIX部のダイナミックレンジを大きくするということです(MIX出力以降は挟帯域のIFBPFで妨害を除去できるため相互変調歪は発生しません)。

 「3.RFAGCのかけ方を工夫する」については、
 RFAGC検出回路、ATT(アッテネート)回路、感度抑圧対策(キードAGC回路)などに注意します。特に、RFAGCがonしてATTが動作した時、ATTの影響で回路のダイナミックレンジが小さくならないようします。

 Fig.4にRFGACによる改善度をしまします。

 RFAGCoffの場合は、赤点線のカーブです。

 RFAGConの場合は、緑、紫、青のカーブです。このうち最も良いのは青のカーブで、相互変調歪が発生するポイントでAGConさせた時です。緑のカーブはonが遅い時で、紫のカーブはonが早い時です。

 相互変調妨害特性は、RFAGConが遅くても早くても悪くなります。
RFAGConが早い時に悪くなる理由は、妨害信号とともに希望信号も減衰するからです。