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小型ポールアンテナと組み合わされるカーラジオのアンテナアンプについてREPORT16

2014/10/22
 
カーラジオ用の小型ポールアンテナと組み合わされるアンテナアンプについて説明します。
 なお、市販されているアンテナブースターアンプとは別の物です。


 以前のカーラジオ用のアンテナは、車のピラー部に取り付けられる「ポールアンテナ」という単純な棒状のアンテナ(写真1)がよく使われていました。しかし、最近は車の屋根に取り付けられるヘリカルタイプの「小型ポールアンテナ」(写真2)が主流になっており、アンテナアンプと組み合わせて使われています。

 また別に、カーラジオ用のアンテナとしては、さらに小型の「シャークフィン型アンテナ」とよばれるものや、「ガラスアンテナ」とよばれる後部ウインドガラスに張られた熱線をアンテナとして利用するタイプのものもあり、それぞれのアンテナに合わせたアンテナアンプが使われています(ガラスアンテナにはアンプなしの物もあります)。



 アンテナアンプは、右写真2の小型ポールアンテナの根元の台座部分に設けられています。
 なお、写真の小型ポールアンテナは長180mmですが、他に110mmの物もあります。



アンテナアンプの役割

 
 小型ポールアンテナは小さいため、通常のポールアンテナに比べてアンテナ利得が小さく、カーラジオの感度が低下します。アンテナアンプは、この感度低下を出来るだけ抑え、通常のポールアンテナに近い特性にするためのものです。

 ただ、あくまで通常のポールアンテナに近づけるものであって(アンプ付だからといって)通常のポールアンテナ時よりも感度が良くなることはありません。
 カーラジオはもともと非常に高感度に設計されており、アンテナとカーラジオの間でアンプにて増幅しても感度UPする余地は限られています。

 アンテナアンプのゲインは、カーラジオの入力レベルによる各種制御や妨害特性を考慮して、通常のポールアンテナ使用時と同程度の入力レベルになるように設計されています。

 また、アンプは単に増幅だけでなく、インピーダンス変換も行っています。FMでは、アンテナとアンプ入力部のインピーダンス整合させ、出力は75Ωにしています。AMでは、入力はハイインピーダンス、出力は(同軸ケーブルでのロスを減らすため)300Ω程度にしています。

 さらに、アンテナ自体にゲインの周波数特性がある場合は、アンプにて補正しています。

 

実際のアンテナアンプの中身はこうなっている


  写真3.に長さ180mmのショートポールアンテナに組み合わされるアンテナアンプの中身の一例を示します。

 アンテナのすぐ下の台座の部分にこのアンプが設けられています。小型ポールアンテナは車の後部屋根に取り付けられることが多いため、3m程度のケーブルでカーラジオ接続されます。

 車の後部屋根に取り付けられるのが多いのは、感度的にも、また車両から発生するノイズに対しても有利だからです。

 アンプの電源は12vで、通常はカーオーディオ、カーナビゲーションから供給されます。(青色のリード線でアンテナコントロールという名称のラインです)
 この電源ラインが接続されないと当然感度が極端に悪化します。

 カーオーディオ、カーナビゲーションを取り替えたさい、特にAMで極端に感度が悪化した場合は、まずこのアンテナアンプ用の電源が接続されているかどうか確認する必要があります。 

 アンテナアンプの基板は、2層基板で裏面にもチップ部品が載っています。
写真4.は基板表面の拡大写真、写真5.は基板裏面の拡大写真です。また、写真6.にケーブルを接続した時の写真を示します。











 

アンテナアンプの特性は

 
アンテナアンプの特性を表1.に示します。
      
   表1. アンテナアンプ特性
   FM  AM
 入力インピーダンス  75Ωより高い  ハイインピーダンス
 出力インピーダンス  75Ω  約300Ω
 ゲイン パワーゲイン9.8dB 83Mhz
(電圧ゲイ5dB)
電圧ゲイン 7.6dB 999Khz


 

 Fig.1にアンテナアンプ単体のFM(83Mhz)の入出力特性カーブを示します。横軸はSGの開放端電圧です。

 入力100dBuあたりからAGCが動作しているのがわかります。なお、カーラジオ自体のRFAGConは70〜80dBuあたりですので102dBuでAGCが動作しても問題ありません。











 Fig.1-2に入力部にSGとのインピーダンスマッチングマッチング回路を設けた時のアンプのFM(83Mhz)の入出力特性カーブを示します。

 特性カーブからパワーゲインは9.8dBです。
 インピーダンスマッチング回路は下図Fig1-3 の回路です。









Fig.2にアンテナアンプ単体のAM(999Khz)の入出力特性カーブを示します。横軸はSGの開放端電圧です。

 AMダミーアンテナを介した時は、電圧ゲイン7.6dB、入力132dBuまでAGCなしでも線形性が確保されています。







カーラジオ特性 アンテナアンプ アリナシ比較


 カーラジオにアンテナアンプナシの時と、アリの時の特性比較測定しました。
Fig.3に測定結線図を示します。


(注)実際は、アンテナアンプアリ時は、アンテナ利得の低い小型ポールアンテナと組み合わされるため、入力レベルはその分小さくなります。よってあくまで参考特性となります。

 以下に測定結果のグラフを示します。



 右図Fig.4にFMのシグナルメータ電圧の差を示します。これによりFMの入力レベルの差がわかります。

 アンテナアンプアリ時は、入力レベルが8.8dB大きいことになります。
(アンテナアンプ単体時のゲインよりと差があるのは入力インピーダンスのマッチングをとっていないためです)



 
 

 右図Fig.5にAMのシグナルメータ電圧の差を示します。これによりAMの入力レベルの差がわかります。

 アンテナアンプアリ時は、入力レベルが6.3dB大きいことになります。
(アンテナアンプ単体時の電圧ゲインよりも小さくなっているのは、アンプの入力インピーダンスがカーラジオの入力インピーダンスよりも若干低いためです)






 右図Fig.6にカーラジオのFM入出力カーブの差を示します。

 アンテナアンプアリ時は入力レベルが大きくなる分ソフトミュートのカーブが低い方に移動しています。ただし、感度はアンプアリナシで変わりません。元々のカーラジオ自体の感度が良いためです。













 Fig.7にカーラジオのAM入出力カーブの差を示します。

 アンプアリ時は入力レベルが大きくなる分ソフトミュートのカーブが低い方に移動しており、無入力時のノイズも大きくなっています。ただし、感度は逆に4dB悪化しました。カーラジオのNFがアンテナアンプのNFよりも良いためです。











 Fig.8にカーラジオのFM3信号妨害特性の差を示します。

 アンプアリ時は入力レベルが大きくなった分、妨害特性悪化しています。102dBu付近でアンテナアンプのAGCがonしています。










 



 Fig.9にカーラジオのAM混変調、抑圧特性を示します。

 アンテナアンプアリ時は、希望信号40dBu時は(ナシ時と)ほとんど差がありませんが、希望信号80dBu時は混信します。