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カーラジオFM入力回路(同調タイプ)1

2013/2/25

1.同調タイプのカーラジオFMチューナーのRF部構成

RF部は、アンテナ入力からMIX入力までの部分です。以前は、下図のような挟帯域の同調タイプがよく使われていました。最近は、非同調の広帯域のBPFのタイプが主流になっています。ただ、離れた妨害特性などでは同調タイプの方が非同調タイプに比べて大きく勝るため、OEMなどで車メーカーの要求が厳しくて非同調タイプでは対応できない場合などは、現在も使われているようです。

     Fig.1 カーラジオFMチューナーのRF部回路(同調タイプ)
カーラジオFMのRF部

        


構成は、アンテナ入力から「インピーダンス変換」+「同調回路1+LNA+「同調回路2+「不平衡→平衡」の構成になっています。また、アンテナ入力部に「RFAGCATT」も設けられています。以下に、それぞれのブロックについて説明します。

2.アンテナ入力部のインピーダンス変換回路

アンテナ入力は75Ωですが、同調回路で選択度をとるためにはインピーダンスを上げる必要があります。同調回路1の共振インピーダンスは、コイルやバラクタQ、および接続されるFETの入力インピーダンスの影響で約2KΩです。従って、75Ω→2KΩの変換が必要になります。インピーダンス変換する方法としては、以下の方法があります。


                               Fig.2インピーダンス変換方法インピーダンス変換回路
1.
トランスを使う
巻数比が[1:N]の時インピーダンスは[1:N2]




2.Lマッチ回路を使う。
 R1
R2の変換の場合、

     C=1/2πfXCただし、( XC=R1×(R2/R1-1) ) 

     L=XL/(2πfただし、( XL=R2/(R2/R1-1) )

しかし、カーラジオの場合は1.のトランス方式はAM帯が減衰してしまうため使えません。従って、AM帯が減衰しないような小さなC(22F以下が望ましい)で入力できる2.のLマッチ回路を使います。

実際の回路は、Fig.3のようになっています。

                           Fig.3 実際のインピーダンス変換回路部分 FM入力部のインピーダンス変換回路
 1はインピーダンス変換部と同調回路部に分けられます。また、同調回路は同調周波数では抵抗成分になりますので、結局一番下の回路に書き換えられます。回路図の左側の囲った部分がLマッチ回路です。

175Ω、R2=⇔2KΩ、f=98Mhzをさきほどの式に代入すると、

14.2pF, L1-1=0.64uFとなります(L1-1はL1-2と合成され一つにできます)。


 実際には、ネットワークアナライザをアンテナ入力に接続して75Ωになるように(常に同調をとりながら)C1を調整します。ただし、インピーダンスマッチングをとるのは感度悪化を防ぐためですので感度が問題無ければそれほど気にする必要は無いともいえます。



Fig4. トランスとLマッチ
組み合わせた回路

インピーダンス変換回路2




                            

また、Fig.4のような、トランスとLマッチを組み合わせた回路もよく使われます。コイルのタップ比が11の場合、タップポイントのインピーダンスをXとすると、122=X:R2 (R22K(Ω))より、X=500(Ω)となり、75Ω→500Ωの変換を行えばよいことになります。

前出の式に代入して計算すると、
入力のC=9.1pF、タップポイントのL=0.34μHとなります。

注)Lマッチでのインピーダンス変換値は計算した周波数のみで成り立ちます。そのため、離れた周波数ではインピーダンスがずれてきます。(FM帯域内では無視できるレベルのものですが)トランスと組み合わせたタイプの方が離れた周波数のインピーダンスのずれが小さいという利点はあります。

実際の回路では、入力C値は、フルタップの場合入力C値は4F中間タップの場合入力C値は10F or 12Fにするとうまくいきます。

つづく