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カーラジオFM入力回路(同調タイプ)3HEADLINE

2013/3/24


下図の回路について前回、前々回からの続きです。

Fig.1 カーラジオFMチューナーのRF部回路図(同調タイプ)

カーラジオFMのRF部

6.RFAGC用ATT回路

 RFAGC用のATT回路として、「pinダイオードによるアンテナ入力ラインのダンプする回路」と、「LNA用FETのゲート2を利用してFETのGAINを下げる回路」の二つを使っています。

 RFAGCは、通常入力レベル60dBμ付近でonさせます。入力120dBμまでAGCを持たせるには60dBのATT量が必要となります。pinダイオードにてアンテナ入力ラインの一か所をダンプするだけでは、ATT量20〜35dB程度しかとれませんので、60dBのATT量を確保するために、LNA用のFETのゲート2も利用しています。

 LNA用のFETのゲート2を使用しない場合は、pinダイオードを2ヶ使い、2ヶ所をダンプすることでTT量を確保するようにします。

 pinダイオードでのATT量は、どのポイントをダンプするかで変わってきます。当然、インピーダンスの高いポイントをダンプするほどATT量が大きくなります。Fig.1の回路図ではATT量=35dBくらいです。

 RFAGC用ATT回路では以下の点に注意します。

@ATT動作の順番を、まず、pinダイオード、終わったらゲート2、とはっきりさせる。

 pinダイオードは、完全にoffのときや完全にonの時は耐入力が大きいのですが、中間状態の時(特にonし始める時)妨害で歪みやすくなります。そのため、ゲート2と同時に動作させると、on,offの中間状態の時が長くなりその結果妨害特性悪化させるとこがあるためです。

Aダンプするポイントは、AM帯カットした後(入力コンデンサの後)にする。

 AMの強電界地域でAM電波によってpinダイオードがonしてしまい、FMが感度悪化してしまうのを防ぐためです。

B基板のパターンでは、pinダイオードのGNDは、アンテナ入力GNDの近くにする。

 離れたところのGNDに落とすとATT量が減るためです。

Fig.6 pinダイオードonした時のアンテナ入力部同調回路特性
 RFAGCのATT特性1

Fig.7 同調回路の崩れを改善する場合の回路(C1-1,L1-1を追加する)
改良型RFAGCATT回路


Fig.8  同調回路の崩れを改善した回路でのシミュレーション
RFAGCのATT特性2


C(出来れば)pinダイオードonしても同調特性が崩れないようにする。

 通常は、アンテナ入力部の同調回路がダンプされるため同調特性は崩れてしまいます。 Fig.1の回路で、pinダイオードがonした時のアンテナ入力部の同調特性はFig.6のようになります。

 崩れないようにするには、Fig.7のようにC1-1、L1-1を追加します。ATTした時の同調周波数の微調整は、L1-1の値を変えて合わせます。Fig.8にこのときの同調回路特性を示します。

 ただし、この回路はダンプするポイントのインピーダンスが低くなるためpinダイオードによるATT量は20dB程度に減ります。


DLNA用のFETのゲート2でGAINを下げた時のダイナミックレンジ減少に注意する


 電流を減らすことによってGAINを下げる方式は、同時にダイナミックレンジの減少を伴いますので、ATT量は取れても妨害特性悪化してしまうということがあるためです。

(ディスクリートのFETは元々ダイナミックレンジが大きいので問題になることはほとんどありませんが)、LNAとATT回路をICに内蔵する場合は特に注意が必要です。
 ダイナミックレンジを減少させずにATT量とるには、

●「LNAの入力端をダンプする」か、
●「LNAのエミッタ(ソース)抵抗を大きくする」
しかありません。

 エミッタ(ソース)抵抗を大きくしてGAINを下げる場合は、リニアに変化させようとすると(リニア状態の時)強入力で歪み、妨害特性が悪化します。そのため、LNAに複数のエミッタ(ソース)抵抗を設けておいて切り替えたり、あるいはGAINの違うLNA(エミッタ(ソース)抵抗の違うLNA)を複数設けておいて、LNAそのものを切り替えてGAINを下げる方式をとります。

7.簡易型のRF同調回路

 最近のICは、MIXのGAINを高くしたり、LNAを内蔵することにより、外付けのLNA不要のタイプが主流になっています。その場合のRF同調回路を付加する場合は下図のFig.9ような回路を使います。

 同調回路が1ヶのみのためFig.1のような2ヶタイプよりは選択度が落ちますが、それでも非同調のBPFタイプに比べると、離れた妨害時の特性が大幅にUPします。

 だだし、この回路はICに、RF同調用のDC出力(RFADJ用DAC)が無い場合は使えません。

Fig.9 外付けのLNAが必要無い場合のRF同調回路
 LNA省いたFMRF回路


 pinダイオードでダンプするポイントを2ヶ所にしてATT量を確保しています。Fig.9の回路ではATT量は約60dBです。

 pinダイオードは、1ヶタイプと2ヶタイプのものを使っていますが、これは、onする順序を決めているためです。まず同調特性が崩れない1ヶタイプがonし、つぎにATT量確保する2ヶタイプがonします。
 前述のようにpinダイオードはon,offの中間状態の時が耐入力が悪化しますので、そのためにも同時にonするのを避けています。